特性要因図と4M・5Mの関係とは?特性要因図の書き方・作成方法について分かりやすく解説

2019年9月13日金曜日

QC7つ道具 QC検定

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皆さんは問題が発生したとき、どのように要因やその関係性を明らかにしていますか?


問題解決における要因解析はよりスピーディーに的確にこなしていく事が求められます。


今回は要因解析における必須ツールでもある「特性要因図」についてまとめてみました。


前回の記事ではQC7つ道具のパレート図についてまとめています。パレート図に興味がある方は是非↓↓↓

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特性要因図とは




結果と要因との関係を一つの図に整理して分かりやすくしたもので、JIS定義では以下のように記されています。

ー特性要因図とは【JIS Z 8101-2】-
特定の結果と原因系の関係を系統的に表した図

わかりやすくまとめると、

「製品や材料、部品の異常個所のその原因についてなぜなぜ分析を繰り返し解明し、整理していく方法」です

ー特性ー
現場の異常や問題製品性能の向上など、現場にとって解決したい何か

ー要因ー
特性に影響を及ぼす可能性があるもの

ー原因ー
実際に影響を及ぼす要因の事

また図の形が魚の骨の形に似ていることから、「フィッシュボーン・ダイヤグラム」ともいわれています。


特性における解決したい何かというのは「○○商品の売り上げが悪い」「○○の異常発生が多い」「○○の材料費が高い」などが挙げられます。


今あげた「解決したい何か」というのは要因は一つの事だけでなく多くの要因が複雑に絡み合っているのが分かります。





その挙げられた一つ一つの要因についてなぜなぜ分析を繰り返して要因の要因をさらに深堀していき、それらを「大骨」「中骨」「小骨」「孫骨」として図にしていったものが特性要因図になります。


特性要因図の特徴



特性要因図の特徴と用途は以下のようになります。


~要因抽出の手段~

特性要因図を作成しながら解析した要因を漏れなく「抽出」する事が可能。


~要因整理の手段~

特性要因図を用いる事で、抽出した多くの要因や原因を「まとめる」事が可能。


特性要因図は上記二つの手段の特徴がありますが、そもそもこの特徴をどのように活用していくのでしょうか?


特性要因図を活用する理由としては、「問題の原因究明」と「要因の洗い出しと予防」に大別されます。


原因究明と予防



特性要因図を活用する目的は「原因究明」と「予防」に分類されます。


例えば現場では問題はつきものであって、何度調査しても原因が分からない場面に遭遇することがあります。


その時に特性要因図を用いる事で、今まで見落としていたかもしれない要因を洗い出していきます。


ここでの洗い出された要因と言うのは「絶対」ではなくあくまで「可能性」である原因と言う認識は間違えないようにしましょう。


最初から完璧を求めてしまうと間違いなくつまずきます。


そうならないためにも、あくまで「ヒント」や「手がかり」を見つけ出すための一つのアプローチ法という事になります。


全体の流れとしては抽出した要因を見て、可能性が高いと判断されたものから順次解析していく事が効率的となります。

一方、予防の場合は現場で多発する問題がそもそも起こらない様に事前に対策を挙げる事が目的とされますので、想定外の事までカバーできるように考えていかなければなりません。


この時活用されるのが、ブレーンストーミング法となります。ブレーンストーミング法の特徴としては以下の4つとなります。


①他人の発言を批判しない
②どんな意見も受け入れる
③質より量
④他人のアイディアに便乗する

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ブレーンストーミング法をうまく活用することで、今まで想像もつかなかった要因などが浮き彫りになる可能性もあります。


是非積極的に活用していきましょう。


特性要因図と4M・5M



要因を抽出する際にはただ闇雲に要因を列挙していくのではなく「4M」を軸に抽出していくのが効率的です。


4Mで分類することで現場で予想される大まかな要因を絞り込むことが可能となります。

ー4M-

作業者:Man
設備 :Machine
方法 :Method
材料 :Material

これらに共通しているのは「現場で問題となる要因」「頭文字がM」から始まるもので統一されています。


このほかにも、4M+「測定」で5Mと総称したり環境・管理・教育というのが含まれることもあります。


最後に4Mについてまとめて特性要因図の作成方法に移りたいと思います。

4Mのメリット 今まで想定していなかった解決の糸口を見いだせるヒントを獲得することが出来る







特性要因図の作成方法



特性要因図の作成方法に入る前に、作成方法には大別すると2つに分類されます。

ー特性要因図の二つのアプローチー

【大骨展開法】
大骨→中骨→小骨→孫骨と言った4M、5Mを基準とした一般的によく知られる方法

【小骨展開法】
カードを用いて整理しながらまとめていく方法

大骨展開法の作成方法


大骨展開法は一般的に知られている特性要因図であり、4M、5Mを活用して展開していく方法です。


大骨展開法の手順は大別して7つのステップに分類することが出来ます。


1)特性値の決定
2)特性×背骨の記入
3)大骨(要因)の記入
4)要因を掘り下げる
5)要因が的確か確認
6)要因の重みづけをする
7)必要事項の記入


それでは上記7つについてまとめていきます。

1)特性値の決定


特性値の決定はより具体的に挙げることで、今後のステップがスムーズに進行します。例としては「○○製品の異常発生が多い」「○○製品の売り上げ減少が著しい」などが挙げられます。


2)特性×背骨の記入


特性要因図の土台となる特性と背骨を記入します。特性を右側に書き左側から右の特性に向って矢印を引きます。


これを特性要因図の「背骨」と言います。




3)大骨(要因)の記入


特性の要因となる大骨を決定します。大骨は背骨に連結しており、要因の決定はかなり重要になってきます。


この時要因を抽出する際は、4M・5Mを用いるとまとめやすくなります。




4)要因を掘り下げる


大骨の要因に対して「なぜなぜ分析」を実行し「中骨」「小骨」「孫骨」と特性に影響すると思われる要因を展開していきます。




5)要因が的確か確認を行う


特性に対して、挙げられた要因・決定した要因が正確か確認を行い、必要であれば追加や訂正を行います。


6)要因の重みづけを行う



特性に対して挙げられた要因に対して最も影響を与えていると思われる個所に〇で囲みを入れます。これを主要因として実際に検証を行ったりします。




7)必要事項の記入


特性要因図の題名・品名・名前・場所などを記入していきます。



大骨展開法のメリット・デメリット


なぜなぜ分析による要因の深堀により、主要因の選定がスムーズに行われる事はご理解いただけたかと思います。


しかし物事にはメリットがあればデメリットも存在します。

~大骨展開法のメリット・デメリット~

【メリット】
集められる要員数が多い
系統立てて分析が可能

【デメリット】
要因を見落とす可能性がある
要因に隔たりが生じる可能性がある

大骨展開法は数が多いが故のデメリットが生じます。


これらに注意を払い要因の選定を行っていきましょう。




小骨集約法の作成方法



こちらはあまり知られてはいないカードを用いて特性要因図を展開していく方法です。


作成方法のステップとしては大骨展開法と同様7つのステップに分類されます。


1)特性値の決定
2)要因をカードに記入
3)要因のグループ分けをする
4)カードを配置する
5)要因が的確か確認
6)要因の重みづけをする
7)必要事項の記入


ご覧になった通り、ほぼステップは類似します。


ですのでここは要点だけまとめたいと思います。

小骨集約法の特徴 カードを用いて小さい要因から大きい要因(大骨)を導き出す

つまり大骨展開法とは真逆のプロセスという事になります。


またこの時、小さい類似した要因通しを合体させていき一つの大きな要因(大骨)を作っていきます。


この時集約する際に便利な方法が新QC7つ道具の「親和図法」になります。

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特性要因図とQCストーリー



QCストーリーとは問題解決を手順化したもので、8つのステップに分類されます。

1)テーマの選定
2)現状の把握
3)活動計画の作成
4)要因の解析
5)対策の立案
6)効果の確認
7)標準化
8)反省と今後の計画



このステップ4の要因解析で活用するのが特性要因図であり、QCストーリーの根本的な問題を把握することは勿論、客観的に要因を明確にすることが可能となります。


以下の記事で詳しくまとめておりますので興味ある方は↓↓↓

問題解決型QCストーリーとは?手順や事例などについて考える。~QC検定攻略~

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特性要因図の二つのポイント



さてここまで特性要因図の特徴や作成方法についてまとめてきましたが、実際に進めていくうえでのポイントとは何なのでしょうか。


特性要因図のポイントは大別して二つに分類できます。

・作り方のポイント
・使い方のポイント

それではまとめを以下に示します。

~特性要因図の作り方のポイント~

【多角的に検討】
少人数でなく出来るだけ多い人数で客観的に、多角的に検討を行う事

【特性は具体的に挙げる】
出だしの目標を明確に選定を行う

【要因は出来るだけたくさん挙げる】
40個前後の要因を挙げることで今までにない気づきに出会う可能性がある

~特性要因図の使い方のポイント~

【重みづけの検証を重点的に】
真の要因を選定するには、経験と知識が豊富なスタッフや上司に意見をもとめ、「3元主義」にならって実際に現場に足を運ぶことも視野に入れる

【改善の継続】
一度の特性要因図で理想を形に出来ない場合、何度も意見を出し合い、改善を継続していく

多くの要因を集めるためには多くの意見と、多くの人の関わりが必要とされます。


特性要因図を活用すると人と人のコミュニケーションが活発になることにも繋がるので是非活用してみましょう。


まとめ


要因は4M ・5M

特性の選定は慎重に

継続した改善を心がける

ブレーンストーミング法は「肯定的」な内容のみ


いかがでしたか?
今回は特性要因図についての攻略をご紹介させていただきました。


特性要因図は要因を究明に役立つツールとして重宝されます。


しっかり理解を深めて活用していきましょう。


次回はチェックシートについてご紹介させていただきます。それでは!

QC検定3級 5分で解説。「チェックシート」攻略

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