秘書検定2級 社外文書について合格者の解説

2022年6月22日水曜日

資格

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今回は社外文書について説明していきます。社内文書の応用ですね。

社内文書が分からないという方は、前回の記事で説明していますので、ぜひ覗いてみてください。



社外文書の基本



社外文書も社内文書と同様にある程度の基礎があります。

何点か異なる点がありますのが、まずは文体は「ございます」という敬体を使うことを覚えておきましょう。



社外文書の慣用句


では社内文書と大幅に異なる点を説明していきます。

それは、「慣用句」です。どういう事?と思うかもしれませんが読み進めていけばすぐに理解できるかと思います。


それでは慣用句を文書で使用する順に説明していきます。



○頭語と結語
よく目にするのは「拝啓・敬具」でしょうか。

こうした言葉をそれぞれ頭語、結語と呼びます。組み合わせが重要になりますのでしっかりと覚えましょう。




それぞれに決まった組み合わせがあります。

違う言葉を組み合わせた瞬間成り立たなくなってしまいますので間違えないようにしましょう。


検定に合格するためだけでしたら、組み合わせだけを覚えれば問題ありません。

しかし、どうしても意味が気になる!という方は、それぞれ意味を調べてみると覚えやすいかもしれませんね。


例えばですが、「拝啓」「敬具」はそれぞれ

拝啓=「拝」:おじぎ、おがむ/「啓」:ひらく、申し上げる

敬具=「敬」:謹んで/「具」:整える


という意味を持ちます。

これらの言葉をわかりやすく変換すると、

拝啓=謹んで申し上げます。

敬具=謹んで申し上げました。

になると言うわけです。


言葉の由来・成り立ちに興味をもった方はぜひ他の言葉も調べてみてくださいね。




○時候の挨拶
これは頭語の後に書く、本文の書き出し言葉のことです。
二十四節気(にじゅうしせっき)に基づく言葉で、テレビでよく聞く「初夏」などもこれに該当します。

月ごとに異なりますが、季節のイメージと紐付けると覚えやすくなります。





使い方は、3月であれば「早春の候、」8月であれば「残暑の候、」など月に応じた言葉に候をつけるだけです。





○繁栄を祝う言葉
時候の挨拶の次は、相手方に対して繁栄を祝う言葉を連ねなければいけません。
まだ主文にはたどり着けないですね。
長い...と思われるかもしれませんがビジネスでは常識ですので慣れましょう。

繁栄を祝う言葉は「企業宛て」と「個人宛て」で言葉が変わります。
間違って使用しても問題はないのですが、やはり印象が悪くなる可能性もありますので、しっかり使い分けを覚えましょう。



<企業宛て>

貴社ますます

ご隆盛・ご隆昌⏩のこととお喜び申し上げます。

ご発展・ご繁栄⏩のこととお喜び申し上げます。


<個人宛て>

時下ますます

ご健勝・ご清祥⏩のこととお喜び申し上げます。



○本文
本文を終え、相手へ労いの言葉として1文を入れます。

結語の前に入れる最後の文章ですね。
これに関しては特に難しく考える必要はありませんが、いくつか例を挙げておきますので参考までに覚えて下さい。

まずは

⏩とりあえず/取り急ぎ/略儀ながら

⏩御礼申し上げます/ご報告申し上げます/書中をもって御礼申し上げます。



内容に応じて言葉を変えなければなりませんが、上記の言い回しを覚えていればそう困ることはありません。



社外文書のスタイル


社内文書同様、社外文書にも形式があります。

社内文書との大きな違いは慣用句ですので、形式に関しては覚えるのにそう苦労はしないかと思います。


実際の社外文書を想定した例を挙げますので、これを元に説明していきます。




①文書番号:社交文書(別記事で説明)や私信にはつけません。


②発信年月日:省略せずに書きます。


③受信者名:株式会社、会社名、所属名、受信者をすべて正確に書きます。(株)のように略してはいけません。

複数人に宛てる場合は「各位」、企業や団体に宛てる場合は「御中」、個人に宛てる場合は「」を使用しますが、役職名しか分からないという場合は「殿」を使用します。


④発信者名:受信者と同様にすべて正確に書きます。※受信者と同格の役職名にします。

例えば受信者が部長であるのに対し、発信者が課長ではダメということです。


⑤件名:1文書1用件が原則です。


⑥頭語:「左寄せ」に書き、1字下げずに書きます。


⑦時候の挨拶:1字空けて書きます。


⑧前文


⑨主文:前文の後「さて」から入り、1字下げて書きます。


⑩末文:内容に応じて言葉を変え、1字下げて書きます。


⑪結語:頭語に応じた言葉を書きます。必ず「右寄せ」で書きましょう。


⑫記書き:必ず「中央」に書きます。内容は簡潔に箇条書きで書きましょう。


⑬追伸:ある場合はこの位置に書きます。一般的には「なお」から書き始めます。


⑭同封物:一緒に同封しているもの、添付しているものなどがあれば書きます。


⑮以上:これ以上内容が無いことを示すために書きます。必ず「右寄せ」で書きましょう。




以上が社外文書の書き方です。いかがだったでしょうか。社内文書と比べ書くこと、覚えることが多いですがこれも「慣れ」です。何度か作成しているうちに自然と覚えますので、実際に作るイメージで練習しましょう。


余談ですが秘書検定2級では社内文書より、社外文書の方が出題が多い傾向にあります。


もちろん社内文書が必要ないという意味ではありません。ですが、試験まで時間が無いという人は社外文書を中心に覚えても良いかもしれませんね。




練習問題



さて、いつもと同様に今回も練習問題を載せておきます。

新しくでてきた慣用句を中心に出題しますので確認程度に使って下さい。


問題1

頭語と結語の組み合わせとして誤っているものはどれか。選びなさい。


1)拝啓ー敬具

2)謹啓ー敬白

3)前略ー不一

4)冠省ー不一



簡単だったでしょうか。誤っているのは3番ですね。前略の結語は「草々」です。

不一の頭語は問題中にもあるとおり冠省です。冠省ー不一の組み合わせはあまり出題されませんが、頭の片隅においておきましょう。



問題2

次の時候の挨拶の組み合わせのうち、間違っているものはどれか。選びなさい。


1)1月ー初春の候

2)3月ー早春の候

3)5月ー薫風の候

4)8月ー盛夏の候

5)10月ー秋冷の候



いかがだったでしょうか。誤っているのは4番です。

8月だから盛夏で合っているんじゃないの、と思うかも知れませんが、盛夏の候は7月です。

二十四節気においての8月は「残暑」「晩夏」のように、夏の終わりを示します。

最近の気候で考えてしまうと混乱してしまうかもしれませんね。



問題にも出したように、秘書検定では組み合わせの問題が出ることがあります。

覚えてさえいれば解答できる為得点源と言っていいでしょう。

正しい組み合わせを覚え、誤った解答を選ばないようにしましょう。









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