秘書検定2級 スケジュール管理・環境整備について合格者の解説

2022年10月18日火曜日

資格

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秘書検定2級では、○○の場合どう対応するか、などの文章問題に記号で答える問題と、自身の考えを記述する問題がでます。

今回のスケジュール管理や環境整備は両方のタイプの問題で出やすいので、暗記だけではなく自分ならどう対応するか、それが果たして正解なのかを照らし合わせながら覚えると合格に近づくことができます。



スケジュール管理


まずはスケジュール管理から解説していきます。秘書の業務として一番想像しやすいかもしれませんね。
上司のスケジュールを管理し、円滑に進め、緊急時にも対応できる能力が問われます。



日常の日程管理


主に秘書検定2級で問われやすい内容です。ここでは作成例や気をつけるポイントを説明していきます。


1.表示・記載方法


・スケジュール帳やノートに書く場合は簡潔に見やすく書くことを意識しましょう。
よく使う項目は記号やシールなどを用いて、文字を重ねないようにすると見やすくなります。
(例:会議☆・来訪○・訪問◎・出張△ など)


・スケジュール内容を上司に渡す場合は、今後変更がある可能性を加味し、

「○年○月○日現在」と記載しておくと余計なトラブルを防ぐことができます。


・確定していない予定は(仮)と書いておくと良いでしょう。



2.年間予定


・年間で定期的に開催されるような行事予定はあらかじめ把握し、不要なブッキングを避けるようにしましょう。
会議などと曖昧に書くのではなく、株主総会、入社式、創立記念日、定例役員会など名称をしっかり書くと確認がしやすくなります。



3.月間予定


・主要な年間行事のほかの出張や会議、訪問などの予定を記入します。

※月間の予定表は前月末に、週間予定表は前週末に、日々の予定表は前日の終業時に上司に見せ、確認するようにしましょう。
変更の可能性がある為早すぎるのもNGです。

※月間予定表は社内の関係者に配布します。ただし詳細までは記入しないようにしましょう。



4.上司の私的な予定


・上司の私的な予定を把握する場合、ビジネスで使用している予定表には書かずに自分の手帳などに書いて把握するようにしましょう。
※秘書と上司はあくまでビジネスの関係であり、プライベートは秘書の管理対象ではありません。





予定変更と調整


予定に変更があった場合、調整を行うのも秘書の役割です。
特に社外に関わることはミスや報告漏れなどがあれば大問題です。
変更の場合はどのように対応しなければならないのか、しっかりと確認しましょう。



1.予定の変更


・予定に変更があった場合は上司にその旨を報告し、上司と自分(秘書用)の予定を訂正します。
訂正する際は、変更前の予定が分かるように二重線で訂正し、○○に変更などと記載しておくと後に把握がしやすくなります。



◇先方都合による調整


・先方からの申し出により予定を調整しなければならない場合も同様に、まずは上司に確認を取ります。
了承を得られれば先方の申し出を受け入れましょう。

・スケジュールが空いていたからと言って、上司に確認せず了承してはいけません。

※秘書検定2級、正誤問題で時々出題されます。必ず確認することを意識しましょう。



◇当方都合による調整


・予定の変更などによりスケジュールが重なってしまった場合は、上司の指示に従って調整しましょう。
変更をお願いした相手先には事情を説明の上、おわびをして改めて面会日時を決定します。



◇関係者への連絡


・必要関係者へ変更になった旨を漏らさず連絡します。
上司に報告完了の報告を行い、他に連絡が必要な関係者がいないか確認しましょう。




出張の日程管理


出張は出張前の準備だけではなく、出張後の管理も秘書の役目です。
上司が出張先での業務に集中できるように、また出張後の業務に集中できるように、入念な日程管理が重要です。


1.事前準備(出張前)


出張日程を組む⏩作成後は上司に確認を取りましょう。

移動手段の選定⏩社内規定に従い、選定します。

宿泊手配⏩社内規定に従い、上司にふさわしい場所を選びましょう。

旅程表⏩上司・関係者に渡します。

旅費⏩経理部門から仮払いを受けましょう。

所持品の準備⏩名刺や資料、封筒、その他状況に応じて用意しておきましょう。


※出張先の天気、気候はもちろん、移動手段や移動時間なども調べておきましょう。



2.出張先の仕事(出張日)


・上司の留守中の経過がわかるメモを作成しましょう。

・上司宛の郵便物は適切に保管しましょう。

・普段やり残している仕事があれば、優先順位に応じてこなしましょう。(名刺整理・ファイリングなど)


※会社によっては秘書が出張先に同行する場合もあります。



3.出張後の仕事(出張後)


・上司が留守にしていた際の報告を行います。(重要度、緊急度に応じて)

・旅費の精算を行います。

・出張報告の作成が必要であれば、作成の手伝いをしましょう。

・必要に応じて出張先に礼状を出しましょう。(※書き方は他記事参照)





環境整備


上司が良い環境で仕事できるよう、環境を適切に整備することも秘書の仕事です。
部屋のレイアウトだけではなく、季節や気候に合わせなければなりませんので、常に意識することが大切です。



1.照明整備


・オフィスの照明は、直接証明よりも「間接照明」が望ましいです。

・事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則によると、事務所の照度は
『一般的な事務作業(300ルクス以上)』、『付随的な事務作業(150ルクス以上)』
とされています。
※最低基準ですので、もう少し明るい事が好まれます。

その他の照度について、JIS(日本工業規格)で照度基準が定められていますので、参考までに載せておきます。


事務室、役員室⏩750ルクス
会議室⏩500ルクス
受付⏩300ルクス
休憩室⏩100ルクス


集中して仕事を行う場所では基準が高く、休憩所などの落ち着けられる場所では基準が低くなっています。




2.防音整備


・ドアクローザー(ドアを強制的に閉める金具)、厚手のカーテン、吸音材や遮音材などを利用し、防音対策を行うようにしましょう。

・特に会議室、社長室、応接室は防音性能を高くしなければなりません。



3.色彩整備


○応接室
⏩威圧感を出さないよう、茶色やクリーム色などのやわらかい色を使用するようにしましょう。
 物事を受け入れやすくなる調和の効果があります。


○会議室
⏩『意見がまとまりやすい空間』を作りたい場合、グレーや茶色、緑色などの鎮静作用をもつ色が良いとされています。

⏩『独創的なアイデアや意見が出やすくなる空間』を作りたい場合、赤を取り入れると良いとされています。
しかし、使いすぎると威圧的になるため、アクセント色として取り入れましょう。

※黄色は不安な感情を引き出しやすくなるので、使用を控えましょう。



4.空調整備


事務所衛生基準規則によって、オフィスの適正室温・適正湿度は定められています。

適正温度は17℃以上・28℃以下
適正湿度は40%以上・70%以下

この規則を守ることは重要ですが、温度・室温は季節や時間帯により変化させるのも大切です。
例えば、夏期は朝や夕方の気温が低く、昼は高くなります。
そのため朝と夕方の冷房は昼間より1~2度高くすると良いでしょう。
反対に冬期は朝夕が冷え込むため、昼間より設定温度を高くすると良いです。

四季に応じておおまかではありますが、

⏩22~23℃
⏩25~28℃
⏩22~23℃
⏩18~20℃

が適正温度とされています。


※夏場エアコンの風邪は直接当たらないよう、冬場は乾燥しないよう注意が必要です。



5.レイアウト


上司が仕事しやすいように、部屋のレイアウトを整えるのも秘書の役割です。
上司に急なレイアウト変更をお願いされても対応できるよう、基本の考え方だけは抑えておきましょう。

・機密管理の徹底
⏩遮音性、遮蔽性を高くすること、扉付きの書庫にしたりダイヤルロック式の収納を備え、機密性を高めましょう。


・コミュニケーション
⏩社内の打ち合わせや商談など、様々な用途で使います。
さまざまな人と接する機会が多いからこそ、コミュニケーションのしやすい空間にしましょう。



【秘書が同室にいる場合】


上司の執務室に秘書が常駐する場合もあります。
その場合気をつけなければならない点をまとめましたので確認してください。


・来客が秘書の机の前を通り、上司のところへ行けるよう配置をする。

・人の出入りが確認できるよう、入り口ドアの近くにする。

・応接している来客と直接視線が合わないようにする。



6.掃除


役員室、応接室には高級な美術品や家具が置かれていることが多いです。
掃除をし、綺麗に保つことは当然ですが方法を間違えてしまうと、壊してしまったり、価値を落としてしまう可能性があります。
それぞれ適切な清掃・取扱がありますが、基本的な掃除方法をいくつか紹介しておきます。


◇置物⏩羽ばたきを使う。

◇油絵⏩羽はばたき・筆を使う。(※洗剤で拭かない)

◇応接セット⏩から拭き、ブラシで汚れをこする。クロスやカバーは週に1回洗濯する。

◇観葉植物⏩ふきんを水で濡らし、固く絞って葉を拭く。



7.オフィス機器の名称


最後にオフィス機器の名称について説明します。
カタカナ用語は問題に出やすいので、頭に入れましょう。

・OHP(オーバーヘッドプロジェクター)
透明フィルムに書かれたものを、スクリーンに映し出す装置のこと。


・スキャナー
文書や画像を読み取る装置。
パソコンを接続させ、画像を取り込み文書作成などに利用。


・プロジェクター
パソコンを接続し、図や文字をスクリーンに映し出す装置。
OHPのようにフィルムを必要としません。



学生・社会人どちらも使用したり見たりしたことがあるのではないでしょうか。
プロジェクターに比べ、OHPは見る機会が少ないかもしれませんね。
余談ですが筆者は最近OHPを免許の更新で使用しているのを見ました。
古くて驚いた記憶があります。皆さんも見ているかもしれませんね。



練習問題


恒例の練習問題をいくつか載せておきます。

復習がてら、解いてみて下さい。

問題1

秘書Aは上司に「明日の午前中、急遽役員会が開かれることになった。

明日10時からX社の山中部長と会うことになっていたが、午後なら何時でもいいから変更して欲しい。」

と言われた。以下のAが行ったこととして、不適当なものはどれか。1つ選べ。

1)X社の山中部長の秘書に、「急遽役員会が開かれることになった」と伝え、約束の変更をお願いした。

2)X社の山中部長に明日10時の約束を午後に変更してもらえないかと電話した。

3)山中部長に連絡したところ、午後3時であれば良いとのことだったのでその時刻で了承し、丁寧にお詫びした。

4)予定表のX社の山中部長との予定を二重線で消し、午後3時と記入しなおし、上司の予定表も同様に変更した。

5)上司に予定が午後3時になったこと、予定表を変更した事をを伝え、ほかに連絡するところはあるか聞いた。




この問題は秘書Aが行った一連の流れの中に、不適切な行いがあるということですね。

今回の答えは(1)です。一体何が誤っているのか、確認しましょう。

(1)では山中部長の秘書に対して約束を変更してほしいとお願いした上に、役員会があるからと理由を述べています。

こちら側の変更であるのだから、丁寧にお詫びした上で午後の約束をとりつけなければなりません。

加えて、社内の理由(役員会なら尚更)を他社の人に伝える必要はありません。



問題2

以下は秘書Aが日常的に行っている予定表の作成や管理である。

中から適切と思われるものを選べ。


1)週間予定表には最新の決定事項のみを記入するようにし、月間予定や年間予定は記入しない。

2)会議は長引くことが予想される為、いつも次の予定を入れるときは間を十分に取るようにしている。

3)株主総会や定例役員会など、年間を通して日程が決まっているものは年間予定表で管理している。

4)予定表は秘書の判断で関係者に配布し、自分と上司で1部ずつ持っておく。




適切な行動は、(3)です。ひっかからずに答えられたでしょうか。

それでは、他の解がなぜ誤りなのかを解説していきます。


(1):週間予定表には月間予定や年間予定も記入しなければなりません。

(2):一件正解に見えますが、会議は終了時刻もきちんと決まっています。

    つねに間を空けてしまっては、上司の時間も無駄になり、スムーズに動けなくなります。

(4):秘書の判断で配布する前にもれがないか上司に一度確認をとりましょう。


正解に見えて不正解という問題が秘書検定では非常にたくさん出題されます。

落ち着いて問題を読み、正解を見極めましょう。












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