官能検査の目的とは?メリット・デメリット・注意点・限度サンプルについて分かりやすく解説

2019年12月17日火曜日

QC検定 検査



品質管理における検査というのは、単に機械で判定するものではなく、人間の感覚で判断を下すものもあります。


機械で行う検査で数値化しにくいものは人間の感覚に判断をゆだねるしかなく、この検査方法を「官能検査」といいます。


今回は人間の「味覚」「聴覚」「嗅覚」を最大限に活かした検査方法である「官能検査」についてまとめてみました。



検査は何故大切なのか




自社で造った商品に不良がありそれが市場に流出した瞬間から、それは問題として扱われます。これを未然に防ぐために「検査」を行い異常品の市場流出を防ぐ必要があります。

ー検査とはー
サービスや製品において測定・検査などを行い、規定要求事項(ISOの基準)と比較して、適合・不適合を判断する活動

また上記の「適合」が示すものは規定要求事項を満たしている事であり、満たされているものを「適合品」、満たされていないものを「不適合品」といいます。


検査の実施対象は大別して以下二つとなり、判定対象も異なってきます。


・製品 :適合品・不適合品
・ロット:合格・不合格


ここで検査の目的について触れていきます。

検査の目的とは 安定かつ優れた品質を顧客に提供するために、製品が基準内に収まっているか評価し、その評価を関連部署にフィードバックを行い、工程改善につなげる事

検査というのは単に検査を行って「適合・不適合」、「合格・不合格」を提示するのが目的でなく、検査を行うことで核心である不良の流出を防ぐことが第一の目的となります。



検査の枠組み





検査を行う時に重要なのは、その時求められている検査方法を的確に選択し、正しく活用していく事が重要になります。


上記を正しく実行する事で、不良品の発生を抑制したり、不良品の世の中への流出を防いだり、他工程からの信頼、市場からの信頼を得ることが可能となります。


この検査方法の種類は大きく分けて3つに分類され、さらにそこから細分化していきます。




大別すると「生産プロセス」「判定方法」「実施方法」のつに分類され、そこから「受け入れ検査」「官能検査」「全数検査」と言うように細分化されます。


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官能検査の目的とは?



ー官能検査【JIS Z 8144:1990】-
官能試験に基づく検査

ここでいう官能試験とは、「官能特性を人間の感覚で調べる事」であり官能特性とは、「人間の感覚器官で感知できる特性」の事を指しています。


圧力・長さ・重さなどの計量値が適応される検査は数値により具体的に合格・不合格の判定が可能ですが、数値化が難しい傷・汚れ・濃淡などは目視検査などを活用して行います。


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つまり機械検査では判定しづらい検査項目を五感により検査するのが官能検査の目的となります。


官能検査の対象項目



官能検査が対象とされる項目をまとめてみました。

視覚


製品の色・光沢・模様・色合い


嗅覚


食品の香り・化粧品の香り


味覚


食べ物の味・舌触り・歯触り


触覚


触り心地・使い勝手


聴覚


オーディオの音質・ボルトの緩み


官能検査のメリット・デメリット



香り・味・サービスにおける品質などの人間の感覚で判断を下す品質特性は数値化しにくく、新商品の立ち上げや試作段階ではある程度、人間の感覚を頼りに検査を進めていく時があります。


このように機械による検査ではなく官能検査が活用される場合は以下のケースです。

【官能検査が適応されるケース】
1)数値化が難しいとき
2)測定コストが見合わないとき
3)感覚>機械の精度のほうがいいとき

3)の感覚>機械の方が優れている時は一概には言い切れないというのが正直なところです。


何故かというと近年「味・香」などの測定の機械測定はかなりの進歩を見せているからです。


しかし結局最終的に商品を選ぶのは「人」であり人がどう思うかが一番重要になります。


特に香水などは「トップノート」「ミドルノート」「ラストノート」のように時間と共に匂いが変化していきます。この3段階での匂いの感じ方は人によりかなり変化してくるのでまだまだ官能検査の活躍は見込まれるでしょう。


しかしこの匂いや味覚というのは同一人物で行うとその人の好みに結果が寄ったり、また体調の良し悪しにより結果が顕著に変化します。


以上の事より官能検査のメリット・デメリットをまとめていきたいと思います。

官能検査のメリット・デメリット 【メリット】
1)低コスト・短時間で行える
2)顧客目線の判断を下せる
3)機械検査の漏れを防げる

【デメリット】
1)検査員による結果のばらつき
2)体調に左右される

このデメリットを最小限にするためには検査の標準化を行うことは勿論、限度サンプルを活用していきます。


限度サンプルの詳細に入る前に官能検査の注意点についてまとめていきます。



官能検査の注意点と限度サンプル



もし現場で外部不良が発生したとき、監査が入ったり、何故不良が起きたかを徹底的に詰めていきます。


この時官能検査を活用していた場合、この検査基準が厳しくなる可能性があります。


その企業が掲げる品質というのは、特定製品・特定顧客に対する高品質なものから、一般的な標準品質のものまであるかと思います。


しかし不良発生のせいで全体的な品質を過剰に厳しくすると、過剰品質になります。


ですのでその規格ごとに・製品ごとに品質を高めていくのが一般的となります。


とはいい官能検査を採用している時点でばらつきが生じる事は覚悟の上かと思います。


先ほどお伝えしたデメリットの人によるばらつき体調によるばらつきは避けては通れないことです。


しかしこのばらつきを小さくすることは出来ます。


それが限度サンプルです。


限度サンプルは大きく言うと「規格」のようなものでその限度内のものであれば問題がないことを示しています。


例えばどのような傷はNGなのか、どのような香りがしたら異常なのかなど明確に示した保存サンプルをもとに作業者の教育・訓練を行っていきます。


これによりばらつきの最小化を狙います。



官能検査におけるダブルチェックの闇



官能検査は一人で行うと結果が偏ることは先ほどお伝えしました。


そのため二重検査やダブルチェックを行うことですべてを解決できるかと言われればそうではありません。


これは作業者の気持ちの問題が関係してきます。


二重検査・ダブルチェックという名の通り、合格品に不良がないか二度チェックを行うことを言います。


「機械検査+官能検査+官能検査」の組み合わせ、意外と時間の無駄になってしまったり、逆効果をもたらす場合があります。


以下の例を見てみましょう。



①~④で想定されるケースを用意しました。


ケース①: 適切  × 適切
ケース②: 不適切 × 適切
ケース③: 適切  × 不適切
ケース④: 不適切 × 不適切


ケース①が適切な工程が組み込まれていることが分かりこれが普通です。


しかし人間の心理的にケース②・③もなくはないです。


「機械検査で合格した製品を官能検査で確認しても意味がない」など考えている作業者がいた場合、この事例は発生します。


人間の内に考えている事はその人にしか分からずお互いを信じている場合もあります。


「少しぐらい自分が手を抜いても・・・」という浅はかな思考を持っていると最悪の場合ケース④を引き起こします。


これは責任問題になりかねないので注意しましょう。


ではこの事例を発生させないためにはどうするのか?というと作業者に自覚を持たせるしかないと考えられます。


チェックリストに氏名と日時を記入する事、上司からの徹底した指導を受ける事が大切になります。


また予算に余裕があるのなら、出来るだけ自動化を検討してみましょう。


まとめ



・官能検査は人間の五感を頼りにした検査である

・官能検査はコスト面を考慮すれば優れた検査方法だが、そこには人的要因が発生するため、100%を保証する検査ではない

・二重検査は人間の心理が顕著に表れる


いかがでしたか?
今回は官能検査についてまとめてみました。


次回は全数検査についてです。それでは!

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