QCにおける問題解決型ストーリーとは?事例や進め方、QC7つ道具との関係について考える。

2019年11月4日月曜日

QC検定 ビジネス

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継続的改善をしていくうえで「問題」を見つけて解決し目標を達成していくというルーチンはとても重要になります。


品質管理において、業務上の問題を解決するための手順を「QCストーリー」といいます。


今回の記事は2種類のQCストーリーのうち問題解決型についてまとめてみました。


前回の記事では「継続的改善・PDCA・SDCA」についてまとめています。興味ある方は是非↓↓↓


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継続的改善と問題・課題について




~継続的改善とは~
問題又は課題を特定し、問題解決または課題達成を繰り返し行う改善
JIS Q 9024:2003(日本工業規格)

問題

設定してある目標と現実を対策することにより克服必要なギャップ


課題

設定しようとする目標と現実との、対処を講じる必要があるギャップ


問題解決

問題に対して、原因を特定・対策・確認を行いそれぞれ適切な処置をとる行動


課題達成

課題に対して、努力・技能を駆使して達成する活動


この継続的改善を行っていくためには、PDCAサイクルを回していく必要があります。



このPDCAサイクルをらせん状に向上させ続ることにより、継続的に管理水準を高めていく事に繋がります。


さてここで問題と課題についての違いについて見てみると、両者ともに「目標と現実とのギャップ」であると述べています。


一緒と思われがちですが、問題は対策が必要とされるので「原因」が存在します。


一方課題は目標と現実のギャップなので根本的な「原因」がそもそも存在しないというのが大きな違いとなります。


「原因」と似た言葉に「要因」がありますがこれらは異なるので注意が必要です。


要因

ある現象を引き起こす可能性がある(範囲大)


原因

要因のうち、ある現象を引き起こしているとして特定されたもの。(範囲小)


問題解決型QCストーリー



品質管理において、仕事上の問題を解決するための手順を「QCストーリー」といいます。


それらで問題がある場合に問題を解決していく手順が、問題解決型の改善活動となります。


QCにおける問題解決法は問題を効率的にかつ効果的に行っていくために科学的根拠に基づいて解決していきます。


この問題を解決する方法はQCストーリーと呼ばれ手順に沿って問題を解決していきます。


またQCストーリーは事実に基づいたデータを活用していき解決していきます。


それではさっそく問題解決型QCストーリーを各手順ごとに解説していきます。


問題解決型の手順





問題解決型QCストーリーは8つのステップに分類されます。


・テーマの選定
・現状の把握と目標設定
・活動計画の作成
・要因解析
・対策の検討と実施
・効果の確認
・標準化と管理の定着
・反省と今後の計画

それではひとつずつ見てみましょう。



テーマの選定


まずテーマの選定は慎重に行うのがポイントとなります。


働くうえで改善箇所なんて探せばきりがないと思われるかもしれませんが、しらみつぶしに適当に行っていくと全体的な・全社的な効率の低下に繋がります。


今ある数多くの問題から何を選択すれば最大の効果に繋がるか、日々の仕事と向き合いながら考えていき、最も重要な問題を見つけ出し、その問題を問題解決型QCストーリーの「テーマ」として選定します。


その時そのテーマを選定した理由を誰にでもわかるように明確にしていく必要があります。


例えば、


「歩留まりが著しく低く、90%の水準まで上げなければならない」


という問題があるとします。この問題に対しての理由を分かりやすく条件付きでまとめていきます。


「生産性・品質が不安定のため、顧客からの信頼があまりない」


「○○年の○月までにこの歩留まり改善を行う」


このようにただテーマのみ選定するのではなく「テーマ+理由+期限」のようにある程度方針を事前に決めておくと今後のステップの時に楽に進めることが出来ます。


テーマで多く取り上げられる例としては以下が挙げられます。

・品質
・コスト
・売上
・生産量

もしテーマが複数挙げられた場合にはテーマの厳選を行います。


上記のテーマ例において厳選するのであれば、「緊急性」「効果の大小」「実現性」などを考慮していくといいでしょう。


これら厳選に困ったときはQC7つ道具のパレート図を活用していきましょう。

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例えば根本的な各製品ごとの不良個数が不明な時行うことは、どの製品にどれだけの不良件数があるのか調べる事です。


上の図を見てみると製品Aの不良件数が多く、製品×不良件数の重点指向的観点から見れば製品Aから取り掛かるべきでしょう。


しかし製品にはそれぞれ価格が異なり損失金額で見ると話しが変わってくる場合もあります。


例えば上の図では製品1と製品2が多くの割合を占めておりこの二つを改善すれば大きな効果が得られるのは間違いないです。


しかし下の図を見てみると圧倒的に損失金額は製品1が多いのが分かります。



よってこの事例では製品1、製品2の両方を手掛けるのではなく製品1の改善を重点的に行っていく事が最も効果的なのが分かります。


このようにパレート図を活用していく場合はある程度視野を広げてからテーマの選定を行っていきましょう。



現状の把握と目標設定



現状把握は選定したテーマについて事実確認を行いそれに適した目標を設定します。


事実確認を行う場合は、3現主義と5W1Hを意識しましょう。




これらは現場の基本とされていますが、もし仮にこれが出来ていないと机上の空論で出来上がった現状把握による無理難題な目標設定になってしまうかもしれません。


そうなる前に現場に足を運び、自分の目で、何がどのようになっているのか現実を知ってから目標設定を行いましょう。


この現実を知るにはデータのを元にした現状把握を意識していく事です。

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この現状の把握によって入手したデータはのちの要因解析でも活用されていきます。


この時データのどこを見ればいいかというとばらつきを見ていく事が重要となります。


ばらつきを見る事で「いつ」発生しているのか「どこで」発生しているのかなどを把握することが出来ます。


条件の厳選が厳しいときは層別を活用していく事で、厳選の大幅な効果が見込まれます。

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一般的な現状把握のtoolとしてはQC7つ道具の管理図が活用されます。


管理図は時系列ごとの癖と以上の有無を把握するのに大いに役立ちます。



この時管理限界線を基準として管理を行っていく事で、瞬時に以上が発生した場合は把握できます。


しかし管理線を越えていなくても異常判定が起こる場合があり、見落とす可能性があります。


それらを見逃さないためにもシューハート管理図の異常判定のルールは把握しておくべきでしょう。

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簡単に説明すると、管理図には権利線を超える以外に8つの異常判定のルールがあり、以下の図に当てはまるものはすべて異常判定となります。



余裕がある人は上記を把握しておくと業務が効率的に進んでいきます。



活動計画の作成



テーマと目標を設定したら活動計画を作成しましょう。


当てずっぽうに行動してもいい結果には繋がりません。


「いつまでに」「どれくらい」成果を挙げるか明確にしておきましょう。


そうすることで自身のモチベーションにも繋がります。


活動計画作成には、QC7つ道具の一つである「ガントチャート」を用いるといいでしょう。


ガントチャートを活用することで計画と実績を瞬時に把握することが出来ます。

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要因解析


取り上げられたテーマについてなぜこのような事態に陥ったのかという原因・要因の解析を行います。


この解析を怠ると、今後も同じことを繰り返し引き起こす可能性があります。


品質管理における再発防止処置は基本中の基本です。


そこでどのように原因・要因を解析していくかというとQC7つ道具の一つである「特性要因図」を用いて根本的な特性を洗い出していきます。

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特性要因図を活用することで思い込みを払拭し、原因・要因の視認化を行うことが出来ます。


また自身のみの単一の意見ではなく関係者の意見を交えて客観的に要因の優先度の調査を行います。


この時要因は4Mを用いて行い、その要因をさらに細分化していき特性に導きます。


・人 :Men
・材料:Material
・機械:Machine
・方法:Method




特性要因図を用いて解析を行う場合はブレーンストーミング法を用いて要因項目を集めていきましょう。


ブレーンストーミング法 ①他人の意見を否定しない
②質より量を重視する
③判断・結論を出さない
④アイディアを結合し発展させる 

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対策の検討と実施


対策の検討をする際、要因解析同様ブレーンストーミング法を用いて意見を集め、よりよい対策案を導き出すのが望まれます。




改善活動には4つの原則がありこの事を改善の4原則といいます。

改善の4原則 排除(Eliminate)
結合・分離(Combine)
代替え(Rearrange) 
簡素化(Simplify)




排除(Eliminate)


作業や業務そのもの自体を取り除き改善する方法です。


今まであった無駄がそのままなくなるので、時間・コスト・効果全てにおいてプラスとして効力を発揮します。


ですので改善の4原則においてまず初めに「排除」を検討する事が重要となります。


結合・分離(Combine)


類似の業務を結合することにより必要な工具や設備自体が減少し、結果としてコスト削減に繋がります。


また層別などを行い業務を分別した場合、もともと一つの事を二つに分けているので手間がかかりません。


「排除」同様すぐに手を付けられる改善なので「排除」の次に「結合・分離」を検討しましょう。


代替え(Rearrange)


作業者の入れ替えや手順の入れ替えを行います。


結果を早急に出さなければいけない場合、人員の移動を行うと効率的です。


短期的なことであればベテランの作業者にその入れ替え箇所を任せることが結果を確実に出すことに繋がります。


しかしあくまでこれは短期的なものであって長期的に行うと人材育成の妨げに直結するので長期になる場合は出来るだけ控えましょう。


また手順をを変更することで時間効率の改善につながることもあります。


これらはコスト・時間共にノーリスクなので「排除」「結合・分離」の後に検討しましょう。




簡素化(Simplify)



改善の4原則で最後に検討するのが「簡素化」となります。


言葉の通り単純化を図る事であり、作業などにおいて無駄を省いてよりシンプルなものへとしていきます。



効果の確認


効果の確認を行う際は必ずグラフなどの視認できるデータを活用しましょう。


言葉でまとめるよりデータのほうが理解も深まり、何より改善効果を皆に見てもらえます。


また効果の確認は以下のような観点にて把握していきます。


・改善はされているか
・ねらい通りにできたか
・金額面でも効果はあったか
・目標値の達成はされているか


この時効果の確認はパレート図や管理図も利用できますが原因の除去の観点から述べるのであれば検査×ヒストグラムが最適でしょう。

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問題解決における最善策というのは原因を除去することです。


検査による改善を行った場合、対策の有効性を確認するために手法を用いた効果の確認は極めて重要になります。



例えば改善後規格内に収めたヒストグラムが上のようなものだとします。


この時効果はあったかといえば「効果はあった」しかし 完全ではないというのが正確な答えになります。


何故かというと規格限界すれすれであり時間がたてばまた何かしらの異常をきたす可能性が0ではないからです。



上の図のようなヒストグラムが完成形になります。


この時、多少ねらいの値と平均値がずれているのは誤差の範囲とします。


このように効果の確認は楽観的にまとめるのではなく、根本的な深層部までチェックをしていく人用があります。





標準化と管理の定着


対策を行い効果が得られたら、その対策を標準化します。

標準化とは 実在の問題又は起こる可能性がある問題に対して、与えられた状況において最適な秩序を得ることを目的として、共通に、かつ繰り返して使用するための記述事項を確立する活動
JIS Z 8002:2006

標準化を行う際は確実に日常管理に落とし込みましょう。


またこの内容というのを確実に関係者に認知・理解・教育を図り今後も継続して維持管理に繋げる事が最大の目的となります。


この時日々の管理を行う上では簡単なものとしてはチェックシートを活用していくべきでしょう。

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例えば点検用テックシートの活用は日常管理には欠かせません。


点検用チェックシートを日常的に活用していく事で、点検や個数の確認を行う際に見落としを防止することが出来ます。



もし同じ不具合が発生している場合再発防止対策を行う必要があります。


再発防止策を講じる事を視野に入れる為には、保管の履歴を残すことが重要となります。



反省と今後の計画


これまでの活動を振り帰り、さらに残された課題・今後の行動計画を立てていきます。


また管理のサイクルにはPDCA・PDCASを意識して行うことで継続的な改善活動の構築に繋がります。


行動には100%という事は限りなく不可能であり、何かしら無駄があります。


それらを見つけて改善し、維持継続を行うことで良い職場環境を気づくことに繋がるでしょう。


以下にて問題解決型について詳しく書かれています。
興味ある方は↓↓↓





まとめ


テーマの選定は慎重に行う

標準化したものは確実に落とし込む

維持管理のサイクルを回していい職場環境を築く


いかがでしたか?
今回はQCストーリーの問題解決型についてまとめてみました。


次回はもう一つのQCストーリーである課題達成型についてまとめていきます。それでは!

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